文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
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恋は五・七・五!

公式サイト

「バーバー吉野」の荻上直子監督作品。
学校になじもうとしない帰国子女の主人公が、強制的に俳句部に入れられ、全国俳句甲子園大会を目指すことに。俳句部には主人公の他に個性的な4人の部員がいた。

女性監督らしい女子高生の描写が楽しかった。同性の先輩を追いかける下級生とか、主人公のようにサバサバして綺麗でかっこい女の子というのは実際いる。なに気に不思議ちゃん行動の太めの女の子、マコちゃんもどこかにいそう。女の子のふわふわした青春というのが、かわいらしくて良かった。

しかし、脚本があんまり良くなかったのでは。セリフが直接的、説明的で、前作のような「遊び」の部分が少なく、「俳句はおもしろいんだよ!」というメッセージがやたら煩すぎる気がした。監督自信が元々「俳句なんてカッコ悪い」「俳句はジジイのうわ言、ババアのたわ言」という実感だったらしく、今回の映画を作るに能って俳句の面白さに気付き、いたく感動したそうだ。そういう再発見の喜びは観ていて良く分かった。でも自分の感動をあなたにもというオススメ感が強すぎて、押し付けがましさすら感じたのだ。
そもそも「俳句は年寄りのもの」とか、映画内で連呼していたほどダサイなんて一般に思われてるのかな。「俳句はポップ」とまではいわないが、もう少し世間に馴染んでいるのでは。
また主人公をストーカーする男や、いきなり同僚の女性に抱きつく男がさらっと描かれていたが、とても気持ち悪かったので違う描き方をしてほしかった。

漠然と「俳句はおもしろい・楽しい」と言い続けられていたような気がした。俳句の何が面白くて楽しいのか、友達と遊ぶことの面白さや楽しさとどう関係しているのか、しつこく描かれていた割りには最後までよく分からなかったような気がする。
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by 44gyu | 2005-03-24 23:13 | ★★★

アビエイタ−

公式サイト

正直、宣伝具合から全然と言って良いほど期待してなくて、話題性だけでなんとなく観にいったのだが、
これがすごく面白かった。
2時間49分という3時間近い長さなのに、映画の中に没頭して時間の長さを全く感じさせられなかった。

しかし試写会場から出る時、「お金払って観なくて良かった〜」という声を何度か聞いたから、好き嫌いがあるんだと思う。それもそのはずかも。
チラシのコピーでは「究極の飛行機と、世界一の映画、ハリウッド黄金期を駆け抜けた伝説の男のトゥルー・ストーリー」とあり、テレビCMでも「伝説の男」を全面に打ち出しているが、この映画は実は
一人の男がだんだん狂っていく様子を描いた映画
だ。
ハワード・ヒューズは強迫神経症だったそうで、この映画では最初から最後まで、彼のバイ菌や他人との接触への病的な恐れが執拗に描かれる。(ハワード・ヒューズと強迫神経症の詳細は以下[心の病-All About]
強迫神経症への理解や興味がなければ辛い内容なのかもしれない。ハリウッドのきらびやかな成功物語や彼の華麗な恋愛遍歴は、二の次の描かれ方なので、これらに期待して観に行くと、物足りなく感じるだろう。
大掛かりなセットと豪華な出演者に一見派手な物語の印象を受けるが、心の病を患ったハワード・ヒューズの痛みや精神的な戦いを描いた地味な映画だと思った。

主演のレオナルド・ディカプリオの熱演はなかなか好感が持てた。強迫神経症の進行具合だけでなく、病気がもたらす他人との距離の測り方など細かい部分も演じられ、ハワード・ヒューズの痛ましさを生々しく感じることが出来た。
またなんと言ってもアカデミー助演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットがすばらしかった。凄すぎて鳥肌が立つくらい。「ギフト」を観た後「ロード・オブ・ザ・リング」や「エリザベス」を観た時も、あまりのキャラクターの違いに驚いたが、今回彼女が演じるキャサリン・ペプバーンは、また今までとは全然違うキャラクターなのだ。喋り方、笑い方、しぐさなどが凄く特徴的でまずびっくりする。そしてハワード・ヒューズと呼応する性格の描写も完璧で、彼女の女優としての素晴らしさをまた思い知った。
そんな名人芸とどうしても比べられ、格の違いが目立ってしまったケイト・ベッキンセール。物足りなさに腹が立つばかりだった。アクション女優として確立しちゃえば良いのに、と思った。
そして個人的に期待していたグウェン・ステファニー。やっぱりいつもの後ろの人達は引き立て役として効果を上げていたんだな、と思った。おもしろかったけど。

この映画はダウナー系だと思う。私はいつの間にかこの映画にどっぷり浸かり込んで観ていたので、席を立つ頃には気分は落ち込み鬱々とした状態になっていた。こんな気分になるハリウッド映画はそう無いだろう。
またハワード・ヒューズが心血を注いだ飛行機と華麗な映画の世界がとても悩ましく見え、ハリウッドらしい派手な世界と地味な心の描写がうまくまとまっていたと思う。
今回この映画はアカデミー賞の主要部門を取りそこねてしまったが、この暗さが嫌われてしまったのではないか。よくある達成感とかやさしさとか前向きなところが全く無いもんなあ。でもそこが良いところだと思うので、個人的には主要部門がとれなくてすごく残念。「Ray/レイ」も「ミリオンダラー・ベイビー」も観てないが、一般的にこの映画よりもすばらしいとされたのだから、さぞすばらしいんだろうなあ。でもヒラリー・スワンクかよ。。。。。
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by 44gyu | 2005-03-23 22:04 | ★★★★

Shall we Dance?

公式サイト


いわずと知れた周防正行監督による1996年の大ヒット作リメイク。
アメリカ版キャストを知った時は驚いた。リチャード・ギアにジェニファー・ロペスにスーザン・サランドン!かなり力が入ってるなあと思った。
しかし全米での興行成績は最高3位と今一歩だった模様。同じ頃の公開作品が「シャーク・テイル」「THE JUON/呪怨」「Mr.インクレディブル」と強力過ぎたからか?

日本版はかなり昔に観たので内容はほとんど忘れてしまっていて、2作品をあまり較べることなく見れて良かった。
穏やかな気持ちになれる映画で、悪くなかった。

日本版では一人一人の個性が強烈だった記憶がある。今回も個性的ではあるが、よりストーリーに重きが置いてあるように思った。それぞれ問題を抱えていた人々が、ダンス大会を目指して仲間と頑張っていくうちに、自信とダンスの楽しさを得て前向きになっていく。大会へ向けての特訓の様子は正にスポ根。汗あり笑いあり痛みありと、典型的なスポ根描写だったが、大人のスポ根なので新鮮で良かった。また彼らの楽しそうな表情が良くて、ホントにダンスって楽しそうだなあ、良いなあと思えた。

それにしても、危惧されていた(?)ジェニファー・ロペスは、そんなに悪くなかった(顔が大きいのがすごく気になったけど)。セリフも少なかったし、悩める天才の感じがよく出ていたと思う。なによりアメリカのシンガーらしい筋肉質の体に見とれた。でも、踊っているときの表情は草刈民代というよりも杉本彩だったなあ。。
「ターミナル」で空港警備局主任役を演じたスタンリ−・トゥッチは、日本版での竹中直人の役を演じており、それが相当スゴイらしいと聞いていたので期待していたが、思ったより出番が少なくて残念だった。

そしてこの映画で一番印象に残ったのは、プレゼントのエピソード。
最初の方で主人公は誕生日に何も欲しい物が無いため、妻にいつも色々してもらってるからプレゼントはいらないと言う。
日本ではお中元やお歳暮の習慣があるし、クリスマスや誕生日のプレゼントでも、テレビではその金額が話題になっているし、なんとなく賄賂的というかお約束的なイメージが出来ていた。もちろんそうでない場合もあるけど。
主人公は最後に妻からプレゼントを貰うのだが、そこでプレゼントすることの本当の意味や大切さをしみじみ感じ入った。個人的にはそのシーンだけでもこの映画を観た価値があったと思えた。

とにかくこの映画の登場人物達はみんな優しい。それを観た私もちょっと優しくなれそうな気がした。
(帰るなりすぐケンカしたけど。。)

以下ネタバレ





スタンリ−・トゥッチのヅラおじさんは、激しくて気持ちよさそうな踊りよりも、なんかコンプレックス面ばかりが強調されていて、観ていて辛くなった。
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by 44gyu | 2005-03-17 23:09 | ★★★

CHARON カロン

公式サイト

3つの顔を持つ多重生活の女・カロン。突然姿を消した彼女を追って、彼女の夫と愛人が強力して、謎の多い彼女の本当の姿を探っていく。

和服姿の小説家の妻、ミステリアスな女、「〜だわ」「〜なのよ」というリアリティのないセリフまわし、などなど、下品な言い方になるが、童てい叉は素人童ていっぽい印象だった。おたく臭い要素盛り沢山というか。そういうのが好きな人には良いのかな。
ヒロインのカロンは、朝はエロい着こなしの和服姿で夫の清純な妻として過ごし、昼間は本屋でアルバイト(英語も堪能で読書家という設定のようだ)、夜はヤクザの愛人で娼婦をしている。
昼と夜での極端な2面性、コスプレ、本屋と、これらにもなんとなく一定の方向性を感じてしまうのは偏見か。

とにかく地球上の2つの性の1つである女性にことごとく人間味がない。ヒロインはトイレに行くこともなければオナラやゲップもしなそうだ。物をねだったり何かを要求したり、世話をかけることもなく、逆に札束でおこずかいをくれる、というキャラクター。更に料理上手でエロいとくる。雪女の現代版か?雪女には感謝というか借りた借りを返すような動機があったが、このヒロインの場合はなぜ、そこまで、そういう方向で生きているのかまったく分からん。最後にオチとしてヒロインの謎が明かされるが、納得するには至らない。話を終わらせるために、強引に付け足したような印象を受けた。結局、制作者の理想の女性像を描いたファンタジーだと思うことで納得した。

そもそも今どき異性にここまでミステリアスな幻想を抱ける人がいたということを知らしめてもらったことがファンタスティック。

夫と愛人が強力して謎解きをする、というあらすじに、ちょっとおもしろそうかなあと思ったが、映画館で観るにはちょっと辛かった。人間関係、ヤクザや作家という職業の描写などなど、すべて一昔前のマンガくさいと思った。
逆に、つっこみながら観る映画としてはアリかもしれない。
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by 44gyu | 2005-03-16 21:46 |
公式サイト


不治の病に冒された兄を看病する弟。死を前に反目しあっていた二人の関係は変化していく。

正直、私にとってまだ「死」は身近なものではないからか、共感するとか心情が理解できるとかは少なかった。もう少し歳をとった時に観たら、違う感想になっているのかもしれない。

話がいまいちよく分からなかったので、自然とあまり高尚でない方向に興味がいった。
シャツは着るのにパンツは履かないなあ、とか剃毛とか。剃毛シーンはとくに時間が割いてあるように思われ、カメラワークも舐めるようでフェティッシュなものを感じる。そういう少々変態的な視線が、独特感があって良いなと思った。

でもせっかく観たので頑張って考えてみた。
兄との約束、という副題からすると的外れなのかもしれないが、

以下ネタバレ


「血液」の病の兄、恋人よりも強い兄弟という「血縁」、同性愛者の弟(「血筋」を残せない)といった血にまつわる物語でもあるように思う。血と死がセットになっているのは、生きることの意味が血(筋)を残すことでもあるからか。
途中で出てくる「切り刻まれた19才の青年」の悲壮は、同じ運命をたどることとなる兄・トマとリンクするのだが、この青年のエピソードからフリーダ・カーロを思い出した。
事故により重傷を負った彼女も、度重なる手術で「切り刻まれ」、子供が出来ない体になってしまった。状況はトマと同じだと思う。しかし彼女の場合は、それらの不幸をも糧にして後生に名を残す才能を開花させる。しかも彼女はその後、夫と妹に裏切られてしまうのだ。
ここでトマの病気について父親が、「なぜトマなんだ。(弟の)リュックが病気になればよかったのに。彼なら病気に耐えられる強さがあるのに。」というような事を言ったのを思い出す。精神的に強いリュックが病気になっていれば、「切り刻まれる」のに耐えたフリーダ・カーロになっていたのではないか。
劇中では制作者の肉体への執拗な視線が感じられ、肉としての生を印象付けられる。それで肉体を「切り刻まれる」のはもうごめんだから、トマはもう終わりにすることを選んだように思った。または大出血して体の一部である血を無くして死ぬのが嫌だったのか。
肉体の一部を無くすことによって、精神的な自己の喪失を感じるというのは、フリーダ・カーロにも言えるテーマ。欠損した肉体の中に自己を見出すのを諦めたのか、見出せそうになかったのか分からなかったが、死ぬことで自己を守るのも一つの選択だろう。共感はしないけど。共感しなかったので、ラストのシーンは自己満足のバッドエンドに見え、さして感動しなかった。
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by 44gyu | 2005-03-14 23:22 | ★★★
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先日の「ドラッグストアー・ガール」、ドラマ「タイガー&ドラゴン」が個人的に不発だった為、少々不安に思っていた本作だったが、不安は大外れ!かなーーり面白かった。これからも何度か繰り返し観たいと思う大当たりの映画だった。脚本だけでなく監督も兼ねるとなれば、やっぱり力の入れ方が違うのかな。

弥次さんと喜多さんのカップルはどちらかと言えばやおい的かと思った。激しいキスシーンもあるが、キャーと言いながら指の隙間から見ちゃう感じ(分かりにくいか)。
長瀬智也のやや一本調子の大根ぎみな演技を、中村七之助がうまくカバーしていた印象。「ラストサムライ」で観たときは分からなかったが、七之助の演技はとても良かったし、おまけに歌も上手かった。もったいないので早く復帰してほしいと思った。(事件)

ストーリーもかなりヤバくて素敵なのだが、この映画のおもしろさは個性的な俳優陣に拠っているているところが大きい。阿部サダヲ、板尾創路、竹内力、荒川良々などなど、一人でも十分何か出来る強力な個性の持ち主たちが、期待を裏切らないパフォーマンス(?)を見せてくれる。特に荒川良々ファン(私か)にとっては、良々地獄(天国)のような映像もあってうれしい。さきほど大河ドラマ「義経」で大いに感じた不満も、ここで解消されること間違いなし。
また個人的に思いのほかヒットだったのが、山口智充(ぐっさん)と七之助の父・中村勘九郎だった。特に勘九郎は目からウロコ。彼の登場シーンはかなりびっくりした。アーサー王って、アーサー王って。。。
そしてそして、なんといっても松尾スズキの「ヒゲのおいらん」。劇中のPVが4月1日にDVD発売されるが、待ち遠しい。でもDVDを手に入れたらきっと何度も観てしまうと思うので、映画を観た時のインパクトを大事にするためにも、映画を観るまでは手に入れない方が良いだろう。

そんな個性的で強力な脇道話とキャラが満載にも関わらず、本筋である弥次さん喜多さんカップルのストーリーもしっかり印象付けて進めていくところは、脚本家の力量なのだろう。喜多さんがヤク中という設定なだけにかなり幻想的で、話も行ったり来たりするのだが、分かりやすくまとまっている。

個人的にほぼ満点の映画なのだが、難を言えばそういった分かりやすいストーリーは、逆にもうちょっとぼかした作りでも良かったのではないかと思った。原作のトリップ感が薄まってしまったのはちょっと残念に思った。説明されすぎて想像する広がりが無くなってしまったように思う。そういうところはやはりテレビドラマ的なのかなと思った。
映像的な美しさやスキの無い完璧さでも、どうしても比べて観てしまうのだが、去年の「下妻物語」よりかなり劣っているように思えた。

しかし、盛り沢山のおもしろさ、贅沢さで今のところこの映画に並ぶものはそうない。宮藤官九郎のサービス精神をつくづく感じた映画だった。
そんなにしてくれてありがとう。
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by 44gyu | 2005-03-12 18:04 | ★★★★

ドッジボール

公式サイト

チラシの写真を見ただけで話の内容はおおかた分かってしまうが、実際見ても予想通りの筋書きで、ストーリーはあってないような映画。いかにも何かしてくれそうな反則な視線に身なりのベン・スティラ−と、「ギャラクシー・クエスト」での怪演が印象的だったミッシ−・パイルに期待して観たが、期待通りだった。
通販番組をパロった、冒頭のベン・スティラ−による過剰すぎるカメラ目線のショットや、ドッジボールのルールを説明したビデオはかなり好き。以前「エメラルド・カウボーイ」で観た冒頭の早田社長によるかっこいいショットは、何かに似ているなhttp://blog.livedoor.jp/nekohimeja/tb.cgi/29767871
あと思っていたが、この冒頭のベン・スティラ−のショットに似てる!

予想できるストーリーなだけに、その予想をどう裏切ってくれるかがこのテの映画の楽しみだと思う。マンガみたいなスポ根ぶりと個性的なチームというのも予想のうちだが、みごと予想以上にむちゃくちゃで楽しませてくれた。
主人公が所属する負け犬チーム「アベレージ・ジョ−(美女と普通以下の容姿の男達がデートするリアリティーショーと同名)」も、個性的な面々が揃っていいるが、対戦相手となる日本のふんどし軍団やきこり軍団なども、それを上回るような強烈な個性を放っている。しかし実にあっさりと、雰囲気と勢いだけで瞬く間に出て去っていく。その潔さがすがすがしい。
またストーリーの成りゆきも、かなり予想外で非常識。ボールを追いかける映像だけでもスピード感は十分なのに、ストーリーも飛びまくっていて、展開が早い早い。あっという間に新しいキャラクターが参入しては消えていき、または新しい人間関係が出来ている。その省略加減が笑えるのだが、映画やドラマで良くみるストーリーのパターンを茶化していると思われる。この辺の横道を茶化す笑いは映画好き、テレビ好きには楽しい。
もちろんベン・スティラ−らの悪役チームもおもしろかった。悪役といえども、皆行動などがかわいらしくて憎めない。特にミッシ−・パイルのコメディアン根性には今回も恐れ入る。私的に素顔はリーズ・ウィザースプーンと似た容姿だと思うのだが、かわいい系で登りつめた彼女に比べ、徹底的によごれ役(?)を演じ続けるミッシ−に、かなりの好感を持った。



以下ネタバレ気味


しかしベン・スティラ−のせいだろうか、負け犬の主人公よりも、悪役のグロボ・ジムオーナー、ホワイトの方に多く同情を寄せてしまう。だってなかなか可哀想な扱いを彼は受けるのだ。ヒロインのケイト(演じるクリスティーン・テイラ−は実生活でベン・スティラ−夫人)からは一目で嫌われ、吐き気をもよおされるし、「このチビ!」とまで言われる。
この映画の記事(西森マリーのUSA通信)を読んで思ったのだが、ホワイトは正に「大人になって金持ちになったり、ダイエットをしたりして見てくれも良くなった時点で、昔のいじめっ子を見返して雪辱を果た」した元いじめられっ子。せっかく勝ち組になったはずが、再びいじめられっ子そのものの扱われ方をしている。オチにいたっては昔話の悪役並みに、築いてきたものすべてを奪われてしまうし。
更にヒロインは一角獣が大好きで部屋は一角獣グッズだらけ。一角獣は、荒々しく凶暴で誰も捕まえることは出来ないが、純潔な処女にだけは捕まえさせると言われ、力強さと純潔の象徴とされる。なんとなく典型的なアメリカンヒーロー・ヒロインのカップルを連想させる。主人公は負け犬といえども貧乏なだけで、背も高いし顔も良い。そんな一角獣に囲まれた部屋の中で主人公とヒロイン二人が話しているのが、真の勝ち組を象徴しているように思えた。
そんなことをモヤモヤ思いつつ観ていると、エンドクレジットの後でベン・スティラ−のおまけ映像。モヤモヤに追い討ちをかけられた感じだった。いじめられっ子は一生いじめられ続けるのか?救いがないなあ。ねらってるのかな〜。
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by 44gyu | 2005-03-10 22:27 | ★★★
公式サイト

予告ムービーの感じから、イノセントなカップルの甘い恋物語かと思いきや、かなり入り組んだ複雑なサスペンスだった。
こんなにスケールが大きくて内容のぎっしり詰まったサスペンス映画は、そう無いのでは。
まさにクモの糸のように細く頼りな気な希望をつたって、主人公マチルドは戦死の報告を受けた恋人マネクの捜索を続ける。そのストーリー展開の巧妙さもさることながら、途中で描かれるマチルドとマネクが出逢った人々の描写もそれぞれ魅力的で素晴らしかった。この辺の、本筋とおおいに関係してくる脇道描写はジュネ監督の前作「アメリ」を思い出させる。
マチルドの「直感」「不思議な力」がこの映画の宣伝文句で言われているが、個人的には恋人の曖昧な死を納得できない主人公が、納得がいくまで曖昧を解いていく、ごく現実的な物語のように思った。オドレイ・トトゥの日本でのイメージ的には、エキセントリックな不思議ちゃんで宣伝した方が良かれという判断だったのかな。。

映像的には今までのジュネ監督の作品とはかなり毛色の違う生々しさ。R-15指定も納得の壮絶な戦争シーンと性交のシーンが衝撃的だった。人が死ぬシーンはとにかくリアルでグロテスク。肉が飛び散り、こっち向きでバタバタと人が銃弾に倒れていく。
敵兵を倒して誰かが英雄になることもなく、誰一人功名をあげようなどと思っておらず、早く故郷に帰りたいとそれだけを強く思っている。多くの戦争映画では残酷な戦闘の中にも、栄光や達成感が後に待っていたりするが、この映画では、執拗な戦闘シーンの後にも先にも、ただ嫌戦感だけしかなかったのが印象的だった。
しかし生々しいシーンが多くなったものの、ファンタジックな色身とかわいらしさは健在。マチルドが住む叔父夫婦の家は、小さいが緑に包まれて幸せと安らかさにあふれている。ブルターニュ地方の自然や絵本の中の物のような建物など、いかにもジュネ監督らしい計算された美しさがすばらしい。壮絶な戦場の場面ですら、美しさを感じた。
そんな幻想的なジュネ風味とリアリティが混じった、今までにない映像になっていた。

また小気味良い笑いとクセのある登場人物というアクセントも、悲惨なストーリーを和らげていて良かった。ジュネ映画の常連(ロン・パールマンと共に看板俳優?)ドミニク・ピノンがまた良すぎる味を出していた。オナラをする犬、泥棒猫(デカイ!!)といった動物たちも密かに見どころかも。

それにしても登場人物が多い。しかもそれらの人々の名前と顔を全部覚えておかないと、話が分からなくなってしまうのにも関わらず、ほとんどが黒髪に鼻ヒゲで見分けがつけ辛い。わざとなのか、嫌がらせなのか、そういうものなのか、気になる。
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by 44gyu | 2005-03-09 22:15 | ★★★

プルート・ナッシュ

あらすじなど

2003年ラジー賞5部門ノミネート(受賞はなし)と、世間の評判は悪かったようだが、なかなか楽しいSFコメディ。ロザリオ・ド−ソン、ミゲル・ヌネズ・Jr.、パム・グリアと、個人的に好きな俳優が出演しているのもうれしい。
エディー・マ−フィーは、昔あんまり好きではなかったのだが、最近はお気に入りになりつつある。今回の彼は、アクションシーンでの活躍があるものの、押さえぎみで「つっこみ」役に徹しているのが良かった。テンポが良く、間も絶妙。
イントロのいかにも金のかかったSFコメディらしい音楽が、また素敵。

一番の見どころは、やっぱり近未来のロボット達。ここでは「アイ、ロボット」「A.I.」のようなシリアスさはかけらもなく、時に殺伐とした使命を帯びていながらもほのぼのしている。
主人公の友達兼ボディーガードの旧式ロボット・ブルーノは、エド・ウッドの「怪物の花嫁」でト−・ジョンソン演じる「ロボ」っぽい見た目とトロさと間抜けさがおもしろかった。
ブルーノより新型のセクシーなメイドロボットもかわいらしい。「うーぷす!」と言いながらいちいち床に落とした物を拾いパンチラさせる、という設定をしてある、ということなのだが、それが何度も何度もしつこくてハマる。たしかにずっと見ていたい。。
高級車の運転手ロボットの口うるささも懐かしい感じ。主人公らが適当にあしらうのもおもしろい。

そういえば、こういう愛嬌ある友達ロボットって久々に観たような気がする。
この映画には、クローンも頻繁に出てくるが、たいていの映画がそうであるような、深刻なメッセージは発していない。最後に、悪さをしたクローンは罰せられるが、その後も普通のクローン達は普通に生活を続ける。
しかしクローンもオリジナルの人間も、ほとんどの人がロボットちっくであるところが密かな毒だったりするのかなあと思った。あと通行人の中にもどこにも子供の姿がなかったりするところとか。

その他、プルート・ナッシュ、敵役のレックス・クレーターの名前の意味など、なかなか興味深い。それらについてはプルート・ナッシュ@映画の森てんこ森に詳しい。
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by 44gyu | 2005-03-04 22:51 | ★★★★

反則王

公式サイト

韓国のプロレス状況がどうなのかは知らないが、この映画にはプロレスに対する愛情が少しも感じられない。
極端な二重生活という題材はおもしろいかもしれないが、銀行屋もプロレスもどっちも先入観や偏見だけで物語が進んでいる。

一番疑問に感じたのが、少し強くなってきた主人公が、以前乱暴を振るわれた町の不良達に仕返しに行くところ。プロレスラーは、普通の人が鍛えてちょっとケンカが強くなってなる、というものではない。筋肉を使ったエンターテナーなのだ。しかもこのシーンは、観客に「主人公、やったね☆」と思わせるところで、プロレスだけでなくスポーツ全般に対する根本的な制作者の間違ったとらえ方が見てとれる。
また、主人公がマスクをかぶって会社のマドンナに告白に行くところも、どうかと思うところだ。どうもこのシーンは笑うところになっているようだが、マスクマン=笑える人 という構造になっているらしい。主人公はマスクをかぶることで顔を隠し、自分とは別のキャラクターになり、恥を隠す助けにしたようだが、プロレスのマスクって単なる顔隠しだろうか。こういうレスラー達のプロとしての意識やいきごみ、プライドに一切無関心な姿勢が、愛情がない、と感じられる所以だ。
しかもプロレスへの愛情がないにもかかわらず、試合のシーンにはけっこうな時間を費やしてあるからよくわからない。単にプロレス→流血、痛い を印象付けたかっただけか?体重80Kg(セリフで言われる体重なので、ほんとに80Kgあるのかは分からない)というレスラーとしては貧弱で見ごたえのない2人が、えんえんと試合を続ける。これは辛い。

しかし、日本にそっくりな韓国の町並みや地下鉄の様子などは興味深かった。主演のソン・ガンホも、味があり面白くて良かった。最初の方の、テレビを見ながら「うへへへへ」と笑っているところなど、好きだ。
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by 44gyu | 2005-03-03 21:32 | ★★