文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
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嗤う伊右衛門

あらすじなど

小説の映画化ではあまりないことだが、登場人物や舞台の雰囲気が原作のイメージ通りだった。民谷の家などは軒先、生け垣、鳥居と、みごとに想像通り。原作の全体的なうす暗くて妖しい雰囲気もよく出ていたと思う。蜷川テイストと私の相性が良かったのだろうか。原作とのギャップにストレスをあまり感じることなく楽しめた。
映像は決して派手だったり凝りに凝っているわけではないのだが、端々にみられるこだわりが美しい。白いふすまに飛び散って芸術的な円弧を描く赤い血飛沫の美しさや、ダイナミックすぎる生け花は、一見とても芝居がかっていて非現実的だが、なぜか物語とよく馴染み、自然に映っている。

しかしやはり小説の映画化には時間的な無理があった。伊衛門と岩の意地の張り合いとひかれ合う様はこの物語のメインなのに、全然もの足りなかったし、伊藤の屈折した悪人ぶりなどは全く描ききれていなかった。複雑なストーリーを追うのに精一杯だったように感じる。要点をうまいことかいつまんであり、原作のよく出来たダイジェストのような印象を受けた。

原作を読んだ時はかなり感動して泣かされたので、映画内のセリフや人物の行動の前後を、原作を思い出しながら自分で補足しつつ観ていくと、ダイジェストとはいってもラストのあたりではホロリときた。
しかし原作を読んでない人でも泣けるのだろうか。この映画では惹かれあう人間同士の描写が全然描き切れていないのに。
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by 44gyu | 2005-01-09 23:01 | ★★★