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文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
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パッチギ!

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1968年の京都が舞台。日本と在日朝鮮の高校生のケンカと友情の物語。

見始めて最初の方は、日本人の高校生が、朝鮮学校の高校生達にケンカでやられっぱなしだったり、乱暴で逞しい在日の子たちに比べて、ひよひよだったり明らかに不細工だったりとマイナスな描かれ方が目立って、日本人としてちょっと気分が悪かった。しかも主人公の学校の担任が、毛沢東奉者でスローガンを多用する悪意ある描き方のモロ日教組(後でその担任のキャラクターも変わるけど)、学生運動にふける京大生のバカっぽい描かれ方と、どうもこの監督の知識階級に対する偏った見方が露骨すぎるように思われて、そればっかりが気になってしまった。

しかし物語が進むにつれ、はじめは乱暴者としか映らなかった在日の子たちに親しみを持つようになっている自分に気付く。自分の身の回りで起こっていることしか知らない、のんきな普通の日本人である主人公が自分自身とダブるようになり、その主人公が在日のコたちと親しくなっていくのと同時に、それを観ている自分も彼等に親しみを持つようになっていたのだった。偏見しかなかった彼等の生活を主人公が知っていき、彼等の辛さや悔しさを友達の身に起こっていることとして理解していくという主人公の変化が、映画を観ている自分の身にも感じられる。その気持ちの変化こそ井筒監督の意図したものだったのかもしれない。

それまでいがみ合っていた民族同士も一対一で付き合ってみれば考え方が変わる、というのはわりと良く有る題材だが、そんなシンプルな発想を自分自身のこととして初めてこの映画で実感できた。今回は完全に監督にしてやられたなあと思った。正直あまり期待してなかった分だけ、(良い意味の)ショックが大きかった。

ただちょっと井筒ギャグがついてけなかった。あとラストもやりすぎ。
by 44gyu | 2005-01-07 18:56 | ★★★★