文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

ミスティック・リバー

公式サイト

ネタバレ

デイブは今も悩まされる過去のおぞましい記憶ゆえに、性犯罪者を殺してしまった。それは、幼い自分を傷つけた犯人への復讐もあったのかもしれないが、最愛の息子を守るためでもあったと思った。そしてジミ−も最愛の娘の仇をとるためにデイブを殺した。
二人とも愛する子供のために人を殺した、と思った。
しかも、ジミ−の最愛の者を殺した犯人が、同じ愛すべき、守るべき子供であったというのが皮肉で悲惨だった。
「あなたのすることは全て正しく、間違いはない」「だってみんな弱いけど、私達は弱くない」
最後にジミ−の妻がジミーの耳元で囁くこの言葉は、おぞましく、ぞっとした。とても暴力的で威圧的だからだ。ジミ−が正義(間違っていたが)を遂行した、娘への愛の深さは貴くも見える。愛があまりにも深かったために許されない事をした、というのは愛の美しさなのかもしれない。しかし愛の存在は正くても、人間は間違う時がある。怒りの中で理性をきかせるのは難しいし、愛が深いほど理性は遠のくものかもしれない。
報復か赦しか、自分の身になって考えた時の、究極のテーマだと思った。しかし、ジミ−のように暴力的な強さを持っていないほとんどの人達は、殺したいと思っても殺さない。

個人的にジミ−のキャラクターには最後まで共感できなかった。背中に背負っているかのような十字架の入れ墨、自分が殺した男の家族への送金、殺人、どれをとっても自意識過剰でうぬぼれているように感じた。自分を中心に世界が回っている。妻に言われるまでもなく、彼はずっと「王様」だったようだ。
この映画がイラク攻撃に対するアメリカ批判だというのは、ジミ−のこういうキャラクターから納得できる。

最後のパレードのシーンは印象的だった。ショーンは別居中の妻と再会し、笑顔を見せるようになる。彼もまたデイブやジミ−と同じく、最愛のものを手に入れ喜びを知った。そしてまた彼らと同じような落とし穴にはまる危険を孕むようになった。傍らではジミ−が家族と集まり、その妻は勝ち誇ったように見える。そして「負けた」デイブの妻のみじめさが対照的だ。
[PR]
by 44gyu | 2005-07-11 22:39 | ★★★