文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
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高校四年

あらすじなど

題名だけ見ると、1年留年した高校生の自虐的な物語かと思われたが、高校3年生になった仲良しグループが、「常に皆より一歩先じていよう」という実に前向きな目標を掲げて称した自らのグループ名が「高校四年組」、というわけだった。
1957年の日活映画。まだ10代の小林旭が出演している。ひょろひょろしているがなかなかカッコイイ。

四年組のメンバーは、一風変わっているが明るく元気で優秀な者達ばかり、という設定で、個性的なキャラクターが続々登場する。
クラスの連中を相手に金貸しをして金利で儲け、放課後はバーでバイトをして、とにかく金をためることに情熱を注いでいる吉村、超高校級の野球投手でプロから引く手あまたの菅野、柔道の達人の熊木、学生妻の有吉などだ。
これらの面々を見ていると、高校生の皆がとても大人っぽいのに驚かされる(役者の顔形とかではなく、言動がだ)。ストーリーから各キャラクターが非現実的なのを考慮しても、各自が自分の考えを持ち、当たり前のように自分で判断し行動している姿は感心する。
たぶん今よりも「学生」と「社会人」の垣根が高くなく、学生に対して今ほど過保護でなかったからなのかもしれない。昔の学生がホントにこうだったのかは判らないが、少なくともこういう責任感のある学生を目指していたということがスゴイと思った。
しかしそれは「情報化社会」と呼ばれ出す前で、今よりも社会がシンプルだったというのもあるだろう。今の時代にこの映画のような朗らかな青春をあまり望めると思えないし、全面的に賛成もしないが、皆で詩を読みあったり、歌を歌ったり、古語まじりで嘆いたり意気込んだり、そんな青春も楽しそうだなと思う。
ちょっとびっくりしたのが「高校生妻」の話。27歳の男から、どうしてもと求められ在学中に結婚した女の子。皆より早く大人になった風だが、無邪気さは残り、かわいらしい若い新婚カップルの様子が描かれる。今でも16、7で結婚する女の子はいるだろうが、この映画の場合は周りの友達は皆乙女だし、本人も無邪気で幼さが残る少女なので、なんだか不思議な感じがした。この時代はまだこういう子がいたのだろうか。時代を感じて興味深かった。

そんな華々しい面子で構成されたグループに、病弱でなんの取り柄もないながら名前を連ねている自分を情けなく思っているのが主人公の枝村。彼は最初は「義母が義妹に踊りを習わせる金はあっても、僕が手術を受けるような金は家にない」(←このセリフは何回か出てくるのだが、なんかイイ!)し、自分には何の取り柄もないのでこのまま死んだっていいや、と捨て鉢になっていたが、美人の看護婦に信頼を寄せるようになり、生きたいと思うようになる。そして実の父親に手術の費用を出してくれと頼むのだが、完全に義母の尻に敷かれてしまっている父は息子の命を救うための金すら持ち出せない。そこで四年組の出番となる……のだが、うーん、命と習い事を天秤にかけるというのがすごい。鬼のような継母って今でもTVでお馴染みだけど、この映画の継母は最後まで顔が出ることはなく、それがかえって鬼ぶりに凄みを与えている。
枝村を助けられない無力な大人と、友情のために行動を起こす若者を対比させているが、枝村を助けるための金集めの方法が大雑把。菅野のプロ野球チーム契約料1千万円と、吉村の貯金100万円から捻出されることになる。話が大きい。
そんなこんなで枝村は手術を受けられるが、最後に大どんでん返しが待っている。

今観ても個性的で魅力的なキャラクター達が面白かった。大味だが、彼らに見習うところは多くある。昔の高校生の大人っぽさに驚いた映画だった。
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by 44gyu | 2005-06-09 20:46 | ★★★