文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
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ソン・フレール -兄との約束-

公式サイト


不治の病に冒された兄を看病する弟。死を前に反目しあっていた二人の関係は変化していく。

正直、私にとってまだ「死」は身近なものではないからか、共感するとか心情が理解できるとかは少なかった。もう少し歳をとった時に観たら、違う感想になっているのかもしれない。

話がいまいちよく分からなかったので、自然とあまり高尚でない方向に興味がいった。
シャツは着るのにパンツは履かないなあ、とか剃毛とか。剃毛シーンはとくに時間が割いてあるように思われ、カメラワークも舐めるようでフェティッシュなものを感じる。そういう少々変態的な視線が、独特感があって良いなと思った。

でもせっかく観たので頑張って考えてみた。
兄との約束、という副題からすると的外れなのかもしれないが、

以下ネタバレ


「血液」の病の兄、恋人よりも強い兄弟という「血縁」、同性愛者の弟(「血筋」を残せない)といった血にまつわる物語でもあるように思う。血と死がセットになっているのは、生きることの意味が血(筋)を残すことでもあるからか。
途中で出てくる「切り刻まれた19才の青年」の悲壮は、同じ運命をたどることとなる兄・トマとリンクするのだが、この青年のエピソードからフリーダ・カーロを思い出した。
事故により重傷を負った彼女も、度重なる手術で「切り刻まれ」、子供が出来ない体になってしまった。状況はトマと同じだと思う。しかし彼女の場合は、それらの不幸をも糧にして後生に名を残す才能を開花させる。しかも彼女はその後、夫と妹に裏切られてしまうのだ。
ここでトマの病気について父親が、「なぜトマなんだ。(弟の)リュックが病気になればよかったのに。彼なら病気に耐えられる強さがあるのに。」というような事を言ったのを思い出す。精神的に強いリュックが病気になっていれば、「切り刻まれる」のに耐えたフリーダ・カーロになっていたのではないか。
劇中では制作者の肉体への執拗な視線が感じられ、肉としての生を印象付けられる。それで肉体を「切り刻まれる」のはもうごめんだから、トマはもう終わりにすることを選んだように思った。または大出血して体の一部である血を無くして死ぬのが嫌だったのか。
肉体の一部を無くすことによって、精神的な自己の喪失を感じるというのは、フリーダ・カーロにも言えるテーマ。欠損した肉体の中に自己を見出すのを諦めたのか、見出せそうになかったのか分からなかったが、死ぬことで自己を守るのも一つの選択だろう。共感はしないけど。共感しなかったので、ラストのシーンは自己満足のバッドエンドに見え、さして感動しなかった。
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by 44gyu | 2005-03-14 23:22 | ★★★