文才のない人間の書いたほぼ映画の感想のみの日記


by 44gyu
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ロング・エンゲージメント

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予告ムービーの感じから、イノセントなカップルの甘い恋物語かと思いきや、かなり入り組んだ複雑なサスペンスだった。
こんなにスケールが大きくて内容のぎっしり詰まったサスペンス映画は、そう無いのでは。
まさにクモの糸のように細く頼りな気な希望をつたって、主人公マチルドは戦死の報告を受けた恋人マネクの捜索を続ける。そのストーリー展開の巧妙さもさることながら、途中で描かれるマチルドとマネクが出逢った人々の描写もそれぞれ魅力的で素晴らしかった。この辺の、本筋とおおいに関係してくる脇道描写はジュネ監督の前作「アメリ」を思い出させる。
マチルドの「直感」「不思議な力」がこの映画の宣伝文句で言われているが、個人的には恋人の曖昧な死を納得できない主人公が、納得がいくまで曖昧を解いていく、ごく現実的な物語のように思った。オドレイ・トトゥの日本でのイメージ的には、エキセントリックな不思議ちゃんで宣伝した方が良かれという判断だったのかな。。

映像的には今までのジュネ監督の作品とはかなり毛色の違う生々しさ。R-15指定も納得の壮絶な戦争シーンと性交のシーンが衝撃的だった。人が死ぬシーンはとにかくリアルでグロテスク。肉が飛び散り、こっち向きでバタバタと人が銃弾に倒れていく。
敵兵を倒して誰かが英雄になることもなく、誰一人功名をあげようなどと思っておらず、早く故郷に帰りたいとそれだけを強く思っている。多くの戦争映画では残酷な戦闘の中にも、栄光や達成感が後に待っていたりするが、この映画では、執拗な戦闘シーンの後にも先にも、ただ嫌戦感だけしかなかったのが印象的だった。
しかし生々しいシーンが多くなったものの、ファンタジックな色身とかわいらしさは健在。マチルドが住む叔父夫婦の家は、小さいが緑に包まれて幸せと安らかさにあふれている。ブルターニュ地方の自然や絵本の中の物のような建物など、いかにもジュネ監督らしい計算された美しさがすばらしい。壮絶な戦場の場面ですら、美しさを感じた。
そんな幻想的なジュネ風味とリアリティが混じった、今までにない映像になっていた。

また小気味良い笑いとクセのある登場人物というアクセントも、悲惨なストーリーを和らげていて良かった。ジュネ映画の常連(ロン・パールマンと共に看板俳優?)ドミニク・ピノンがまた良すぎる味を出していた。オナラをする犬、泥棒猫(デカイ!!)といった動物たちも密かに見どころかも。

それにしても登場人物が多い。しかもそれらの人々の名前と顔を全部覚えておかないと、話が分からなくなってしまうのにも関わらず、ほとんどが黒髪に鼻ヒゲで見分けがつけ辛い。わざとなのか、嫌がらせなのか、そういうものなのか、気になる。
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by 44gyu | 2005-03-09 22:15 | ★★★